
近年における人間活動の急速な拡大は、資源・エネルギーの大量消費と廃棄を通じて、気候変動や廃棄物問題に見られるように地球環境に深刻な影響を与えはじめています。こうした人類の生存に係る地球的規模の課題の解決に取り組むには、人間活動が地球・社会・人間システムとその相互関係に破綻をもたらしつつある状況を正しく、統合的に理解し、グローバル・サステイナビリティ(持続可能性)の観点からシステムの再構築、およびそれらの相互関係を修復する方策を示し、次世代にも豊かな人間社会を保障するためのビジョンの提示を行う必要があります。
主要先進国首脳会議(G8サミット)は、これまでも地球環境問題の国際的取組みに対して先導的な役割を果たしてきました。特に、2007年7月にドイツで開催されたハイリゲンダム・サミットでは、2050年までに世界の二酸化炭素排出量を半減するという「美しい星50」と題する日本政府の提案や長期的削減に関するEU・カナダの意見が支持され、途上国の参加も含めた新たな国際的枠組みの必要性が協議されました。2008年日本の北海道・洞爺湖で開催されるG8サミットでは、2009年までの合意を目指して、ポスト京都議定書のあり方についてさらに深い議論が期待されます。さらにリデュース、リユース、リサイクルを基本とした3Rイニシアチブについても、国際的な協調の仕組みが議論されることになっています。
こうした国際的課題の検討には学術分野からの貢献が不可欠であり、気候変動問題を科学的に評価・予測し大きな成果を納めた気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への貢献に見られるように、先端的な研究型大学が果たすべき役割はきわめて大きいことは言うまでもありません。グローバル・サステイナビリティの問題は複雑多岐にわたり、サステイナブルな地球の実現のためには、既存のディシプリンを横断して学術界がその英知を結集する必要があります。世界の先端的な研究型大学が連携してこの問題に挑戦する新たな枠組みを形成することが、人類と地球にとって今日求められています。とりわけG8諸国はこの面でのリーダーシップが求められており、G8大学サミットでは、地球・社会・人間システムとその相互関係のサステイナビリティを達成するための、主要先進国を中心とした大学間連携による学術界からの国際貢献を目指します。
先端的な研究型大学がこうした目的の達成に対して果たすもう一つの重要な役割には教育があります。サステイナビリティの実現のためには、21世紀全体を視野に入れた超長期にわたる取組みが必要であり、それを担っていく次世代の育成が不可欠だからです。G8諸国や経済成長が著しい中国、インドを含む途上国において持続可能な開発のための教育を推進し、先端的な研究型大学が連携して国際ネットワークを構築することは、ミレニアム開発目標の達成を含む、持続可能な社会の実現に大きく貢献すると考えられます。
討議の成果については、G8首脳の支持を働きかけるとともに、グローバル・サステイナビリティの実現に向けた国際的な合意形成プロセスに反映させたいと考えています。